柴田教授のひびきの放送局 (Prof. Shibata's Blog)

九州工業大学大学院生命体工学研究科の柴田智広教授の公式ブログです (Official Blog of Prof. Shibata)

介護ロボットメーカー連絡会議は有益な情報に溢れて (1)

2022年6月17日に東京で「令和4年度 介護ロボットメーカー連絡会議」に参加し、講演もしました。資料もこのサイトで公開されているので、ロボットに係る施策の動向、福祉用具・介護ロボット実用化支援事業、福祉用具・介護ロボット実用化支援事業についてご興味のある方は、ぜひダウンロードして見ていただければと思います。

重要な情報がたくさんありましたが、少しだけここで紹介したいと思います。

先日、日経新聞でもコメントしましたが、WiFi環境の無い、もしくは介護に活用できていない施設がまだ多数を占めており、それは本日も厚生労働省から指摘がありました。今年度も下記の事業がありますので、LIFEによる情報収集・フィードバックに協⼒するなどの補助要件がありますが、まだWiFi環境の無い、もしくは介護に活用できていない施設はぜひ活用を考えていただければと思います。

地域医療介護総合確保基⾦を利⽤したICT導⼊⽀援事業

経産省からはロボット介護機器の海外展開に関する情報を提供してくれました。まず、日本の高齢者の増加が緩やかに続くことと、ベトナムインドネシア、中国の65歳以上の人口が2060年に向けて急増する推定が示されました。

国内外の⾼齢者⼈⼝の推移

そして、国内で在宅介護のニーズが高まっているエビデンスなどが示された後、施策の方向性が詳細に述べられました。

そして、ロボット介護機器に関する海外の概況や、各国の介護福祉機器の法令上の位置づけの資料が詳細に提示された後、具体的に中国、シンガポール、欧州、米国について医療機器とみなされるであろう重点6分野について、よく整理された資料が提示されました。

重点6分野についての医療機器/⾮医療機器の該当予測

そして最後に、AMEDやNEDO事業の紹介がありました。

 

次に福祉用具・介護ロボット実用化支援事業について、公益財団法人テクノエイド協会から詳細な説明があり、介護ロボット等試用貸出事業など様々な、ロボットメーカーにとって大変重要な情報が大量に提供されました。随所で、スマートライフケア共創工房もリビングラボの一つである、介護ロボットの開発・実証・普及のプラットフォーム事業との連携についても触れられました。

 

その後、介護ロボットの開発・実証・普及のプラットフォーム事業(PF事業)について、事務局から紹介があり、リビングラボや地域相談窓口の取り組み紹介もありました。私は、リビングラボの取り組み紹介を担当して講演しました。

事務局は、特にニーズ・シーズマッチング支援事業(NS事業)の紹介に時間が割かれました。事務局のメーカーへのヒアリング結果から、メーカーの困りごとが浮き彫りになりましたが、やはり現場のニーズが分からないという意見が多かったです。多昨年度から、PF事業とNS事業は数の様に連携して、多数の企業の方がエントリーし、マッチングサポーターに相談をしたり、リビングラボの支援を受けたりしています。今年度もニーズリストが拡充されるので、ぜひNS事業のホームページをウォッチしてください。また、まだエントリーしていないメーカーの方はぜひエントリーをお勧めします。

ニーズ・シーズマッチング支援事業でビジネスチャンスを!

 

 

市民講座「創造する未来と科学の可能性」で見た高校生の凄さ

2022年6月12日(日)に、福岡市科学館6Fサイエンスホールで、高校生を対象とした市民講座「創造する未来と科学の可能性」が開催され、本学からは、私と同僚の吉田先生が講師やメンターの一人として参加しました。

市民講座と言っても、内容はグループワークとなっていて、30名の高校生が、宇宙、環境、生命、生活、人の5つのグループに分かれ、まずはグループ内で意見を醸成、次に他のグループの発表を聞きながら、さまざまな科学のつながりを考えながら最終発表に至る、というものでした。

ワークショップの始まり

ワークショップは、全体的な説明の後、各グループに分かれて、アイスブレイクをし、各参加者に課されていた調査内容を共有することから始まりました。参加者は皆、中間試験の前後という大変忙しい合間を縫って、大変しっかりとした調査を行ってきてくれており、参加してくれた高校生の皆さんのポテンシャルに驚きました

全体で3時間半という短い時間で、その後は複雑なグループワークを次々と実施する必要があり、私達もうまくアシストできるか不安があったのですが、いざ始まってみると、多くの高校生がグループワーク慣れをしているようで、開始直後からどんどん意見が飛び交うし、オーガナイズが得意な学生、絵が得意な学生、スピーチが得意な学生など、各メンバーの個性も出るわ出るわで、私達の不安は消し飛び、これは面白くなるぞ!という期待感で一杯になりました。

グループ内での課題共有フェーズ

議論は拡散フェーズと収束フェーズが陽にデザインされており、中間発表で他グループの状況を知り、「科学のつながり」を意識するようにデザインされていました。最後には各グループでアイデアを絵にまとめるという作業が必要で、これはさすがに時間的にも大変難儀でした。絵を描く時間の終わりが近づいたとき、「あと10分延長します」というアナウンスに、会場中から歓声があがり、会場は最終発表に向けて盛り上がりがピークに達したのでした。

ワークショップが終わり祈念撮影をした後は、各グループで記念撮影したりLINE交換をしていたりと、熱狂冷めやらぬ状況がしばらく続いていました。

「生活」グループの記念撮影

今回のワークショップに参加してくれた高校生の皆さんが見せてくれたポテンシャルの高さに、とても嬉しくなりました。今回のワークショップを経験した皆さんの今後の成長と活躍が本当に楽しみです!私達も、未来を拓く若者を後押しするために、より良い地球環境、教育環境、社会環境などの「環境」を提供する責務があることを改めて痛感したのでした。

 

最後になりましたが、本企画の立案・実行をされた岸村先生、お声がけいただいた矢原館長、またワークショップ・デザインを練りに練っていただいた科学館スタッフや平井先生や関係各位に、心より感謝申し上げます。

 

補足:本企画は、第12回本学術会議若手アカデミー GYA 総会の市民講座として実施されました。

 

 

すぐ創る課の高齢者・障がい者福祉活動が新聞で報道されました

私が指導教員を務める、九工大の学生プロジェクト「すぐ創る課」の高齢者・障がい者福祉活動が、6月4日の読売新聞夕刊・電子版で大きく取り上げていただきました。

山﨑君や安楽さんは柴田研では高齢者や障がい者がモノづくりを通じての社会参画支援を目的としたスマートワークセルの研究をしています。
パーキンソン病患者の小泉さんが、柴田研の研究実験に参画していただいたとき、市内科学教育のレジェンドであることや、パーキンソン病を患ってからのご苦労をお聞きし、是非、すぐ創る課として御支援したいと思ったのがきっかけです。
容易でない取り組みですが、何とか夢のワークショップにこぎつけて欲しいと願っています!
 

 

北九州学研都市周辺の宿泊場所

学研都市に泊まりでお越しになりたいときには、下記の情報を参考にしてください。

・学研都市内の宿泊室
 こぎれいで便利です。4,500円/泊。8室しかないので、埋まっていることもあります。特に夏季休暇期間はほとんど埋まっているでしょう。

 技術交流開発センター2Fにあります。

 

ファミリーロッジ旅籠屋・北九州八幡店
     学研都市から徒歩17分、車で5分のところにあります。キッチンがあるので、長期滞在にも向いています。目安としては一泊9,000円~1万円のようです。

 

かんぽの宿北九州
 学研都市から車で12~3分の、美しい海に面した、温泉もある宿です。なんと7/1から亀の井ホテルにリブランドだそうです。

名勝遠見ヶ鼻がすぐ傍にあります。

学研都市近隣と言えるのはこれらぐらいと思います。

 

あとは、周辺、ということで学研都市に近い順に黒崎、東田、小倉の都市型ホテルを一つづつ紹介します。その他、黒崎と小倉にはビジネスホテルもいろいろあります。
車、バス、電車などで移動することになります。学研都市の最寄り駅はJR九州折尾駅です。

・黒崎エリア

・東田エリア

ここは、西日本最大級のアウトレット「ジ・アウトレット北九州」のすぐ横にあります。

・小倉エリア

 

 

在宅での使用を前提としたロボット介護機器等の開発・改良促進基盤調査

私が検討会の座長を務めた令和3年度「在宅での使用を前提としたロボット介護機器等の開発・改良促進基盤調査の報告書」が公開されました。

■参考資料等の掲載ページ

https://www.amed.go.jp/program/list/12/02/003.html

■報告書

https://www.amed.go.jp/content/000096478.pdf

■在宅介護の課題と解決に向けて開発されている機器群等

https://www.amed.go.jp/content/000096465.xlsx

また、このページには、

「介護業務支援システムに関連したデータ連携及び標準化可能性調査」

の報告書なども公開されていますね。

これから一層、介護における在宅や地域の役割が重要になってくるということだと思います。

3Dプリンタで自助具を作るイベント実施しました

うっかり4か月以上ブログを書き忘れていましたが、2022年1月9日(日)に、九工大学生プロジェクト「すぐ創る課」3Dプリンタで自助具をつくる」を開催しました。北九州学術研究都市の20周年記念プレイベントでもありました。

作業療法士であり、一般社団法人ICTリハビリテーション研究会代表理事林園子先生を講師に迎え、無料の講演会・併設デモ展示およびワークショップを実施しました。

林先生のご講演では、3Dプリンタで誰でも簡単に自助具を印刷できる時代が到来していること、またマテリアルもどんどん進化してきていることをご紹介いただきました。

講演会は北九州学術研究都市のイベントホールで開催。広いロビーを使って、林先生、柴田研、すぐ創る課、Hibikino-Musashi@Homeから様々な静態展示、動態展示も行い、参加者から大変好評で、感動や激励のお言葉を多数いただきました。

 

その後、スマートライフケア共創工房でワークショップ(自助具づくりとハンズオン体験会)を実施しました。ひびきの校区の自治会まちづくり協議会および市民センター、また一般社団法人先天性ミオパチーの会NPO法人にこり、一般社団法人在宅看護センター北九州からご参加いただき、さらに一般から技術者や看護師の方などにも参加していただきました。ワークショップでは、FabLab品川が無料の自助具データを公開していることや、ユーザーの手のサイズ感などに合わせたパラメータ変更可能な自助具モデルもあることを教えていただきました。その後、無料で誰でも簡単に3Dモデルを設計できるTinkerCADの実習が行われました。最後に、今後どんな自助具を作ってみたいか、各人に自由にアイデアを練ってもらい、発表をしていただきました。各人それぞれの視点のユニークなアイデアを共有していただきました。

ワークショップ参加者全員との記念写真

その後、参加者の中には、自分で作成した3Dモデルを持ち込んでこられた方や、ご自身で3Dプリンタを購入された方がおられます。今回のイベントをきっかけに、このような具体的な活動が町中に広がるといいな、と思っています。

林先生、講演やワークショップの参加者の皆様、その他本イベントに関わったすべての方に、改めて御礼申し上げます。

 

 

 

エイジフレンドリー補助金を活用して介護ロボットを導入しましょう!

今年度もエイジフレンドリー補助金事業がはじまりました!

公式の問い合わせ先は下記、日本労働安全衛生コンサルタント会とのことです。

ぜひ補助金を活用して介護ロボットを導入し、介護の革新を進めませんか?

 

なお、介護ロボットの開発・実証・普及のプラットフォーム事業(介護PF事業)で、スマートライフケア共創工房がラボ検証や施設実証を支援している製品の一つに、(株)ジェイテクトのフレアリーがあります。

複数名・複数施設での介護職員に終日装着してもらった施設実証でも好感触ですし、私自身、先日のオープンキャンパスで4部屋を巡回しながら6時間連続装着してみて、下記のように感じました。

  • 重いと感じなかった
  • 中腰姿勢の助けにこそなれ、他の作業の邪魔にならなかった
  • オフィスワークでも良い感じでサポートしてくれる(さらに検証が必要)
  • バッテリーがほとんど減らなかった

この機会にぜひとも多くの介護施設に、試用や導入をしていただき、介護革新に取り組んでいただければと願っています。

様々な介護ロボットの試用・貸出については、直接企業に問い合わせるか、介護PF事業の地域相談窓口にお問い合わせください。また、スマートライフケア共創工房にお問い合わせいただいても構いません。

また、エイジフレンドリー補助金以外の導入補助金情報も、介護PF事業のホームページに、各自治体毎に整理されてアップされる予定です(現在は令和3年度の情報が掲載されていますので、ご参考ください)。