柴田教授のひびきの放送局 (Prof. Shibata's Blog)

九州工業大学大学院生命体工学研究科の柴田智広教授の公式ブログです (Official Blog of Prof. Shibata)

読売新聞に記事「介護ロボ開発 企業と現場連携」が掲載されました

本日1月10日の読売新聞朝刊(全国版)のp.21「社会保障」欄に、スマートライフケア共創工房が大きくフィーチャーされた掲題の記事が大きく取り上げられました。

厚労省の介護ロボットの開発・実証・普及のプラットフォーム事業の活発な取り組みの様子がとても丁寧に紹介されており、リビングラボとしては九工大スマートライフケア共創工房の他、藤田医科大やSOMPOケア(Future Care Laboのこと)の特徴も紹介されています。相談企業の好事例としてはスマートライフケア共創工房がR2年度から相談対応(支援)してきた(株)ジェイテクトが取り上げられています。

読者会員(とその家族)限定ですが、電子版も公開されています。

厚労省の「介護ロボットの開発・実証・普及のプラットフォーム」はR2年度以来、着実に発展してきました。今年度、スマートライフケア共創工房は12件もの開発企業の相談を受けました。また、イベント・見学対応数はのべ85件に上り、さらに2月までにいくつか予定されています。

厚生労働省は,介護人材が2025年度には約32万人不足し、2040年度には約69万人不足すると予測しています。人の手による温かいケアを何とか維持するためには、テクノロジーの導入は不可欠と考えられます。介護ロボットを積極的に導入・活用している介護施設はまだ少数派ですが、着実に発展してきたプラットフォームを駆使し、AMEDの事業とますます相乗効果を発揮することで、今年はさらに大きな流れが生まれると確信しています。

すぐ創る課の活動方針について

九工大の学生プロジェクトであるすぐ創る課の活動が、昨年末に毎日新聞電子版で、新年明けて5日に毎日新聞全国版(夕刊)で大きく報道されました。

記事中に、「現時点で使用者側の費用負担は無い」とあります。すなわち、残念ながら「すぐ創る課」は何でも無料で創って差し上げます、というサービスではありません

現時点では、九工大から学生プロジェクトに費用支援があるためその範囲内でのサービスが可能ですが、それを超えるようだと何か助成金を取りに行くとか、依頼者に実費負担をお願いするなどの必要があります。

また、記事冒頭に、「その奮闘は研究への意欲にもつながっている」とあるように、現時点ではほとんどのメンバが大学院生であるため、本業は研究であり、すぐ創る課の活動は言わばサークル活動となります。したがって、その活動量にはおのずと限界があります。

そこで、すぐ創る課の重要な活動内容の一つは福祉DXの社会実装なのです。すなわち、全国の法人や地域コミュニティで、すぐ創る課のような取り組みを行ってもらうための後押しをしたいのです。そのために、林園子さんが運営されているFabLab品川とか、ICTリハビリテーション研究会を始め、全国の有志のコミュニティとネットワーキングをしていくことも大変重要だと考えています。

寄り添いロボットの導入事例

寄り添いロボット、と言ってもコミュニケーションロボットではありません。下記動画を見ると分かるように、“転倒させない” ではなく “ゆるやかに転倒させる” 「転倒衝撃緩和装置」なのです。転倒する力で発電するので外部電源が不要なのも素晴らしいです。

柴田研では、パーキンソン病患者のすくみ足予防の研究を、この歩行路を用いて行っています。

    Yoshitake, T., Kawamoto, R., Kurita, Y., Shibata, T. (2022)
        Effectiveness Verification of a Compact Wireless Walking Assist Device for Parkinson’s Disease Patients
        10th International Symposium on Applied Engineering and Sciences (SAES2022), 1 page, poster presentation
   
Le Pape, L., Henaff, P., Shibata, T., Kawamoto, R., Yoshitake, T. (2022)
        Towards a neuromusculoskeletal platform to simulate healthy and deficient gait with assistive devices
        4th Workshop on Integrating Multidisciplinary Approaches to Advance Physical Human-Robot Interaction, IEEE ICRA2022, 3 pages https://hal.archives-ouvertes.fr/hal-03674286/file/%5BPHRI2022%5D%20Contribution%20%E2%80%93%20Neurorhythms_Kyutech%20%282%29.pdf

 

寄り添いロボットはサンヨーホームズ株式会社の製品で、リハビリ用、研究用、介護施設用など様々な導入事例があるので、下記サイトを参照してみてください。先に紹介した16m直線歩行路も導入事例として掲載されています。

また、寄り添いロボットは、(公財)テクノエイド協会の「福祉用具 介護ロボットの開発と普及 2021」の第5章「実用化された福祉用具・介護ロボット」のところにも掲載されています。

 

2023年2月の北九州企業特別体験会(Uターン、Iターンの方々も対象)

皆さん、ツクルくんとタクミちゃんってご存じですか?

ものづくり北九州のキャラクターだそうで、タクミちゃんは新キャラだそうです。

2023年2月に、理系学生限定の、北九州企業特別体験会があるそうです。Uターン、Iターンの方々も対象だそうです。
チラシ2ページ目を見ると、世界や国内でのトップシェアを持つ会社も多いです!

政令指定都市北九州は適度な都会と豊かな自然があります。子育て環境も充実しています。災害もとても少ないです。全国の理系の皆さんで、地方での就職を考えるなら、ぜひ北九州に注目してくださいね!

 

 

大分県との交流

スマートライフケア共創工房はR2年度から厚労省介護ロボットプラットフォーム事業のリビングラボとして、全国からご相談を受け対応していますが、もともとはテクノロジーを活用する介護イノベーションの九州のハブになろうと思って立ち上げた施設です。

北九州の地域相談窓口と連携しているのは勿論のこと、今年は介護ロボットプラットフォーム事業における、大分鹿児島の地域相談窓口も訪問し、連携を深めました。

 

特に、2021年から大分県とは下記のような交流をしてきました。

2021年には初めてオムロン太陽を訪問しました。その際に、大分県の商工観光労働部 新産業振興室や医療ロボット・機器産業協議会の方に、メディバレーおおいたをや太陽の家ミュージアムを見せていただいたり、いくつか企業を訪問させていただきました。

 

そして2022年はオムロン太陽と活発に連携しました。まずオムロン太陽の50周年記念式典に出席しました。

逆に、北九州学研都市の20周年記念イベントに来ていただきました。

 

前記50周年記念式典の時に、工場をじっくり見学させていただきました。その際に、オムロン太陽がパテントを持ち開発した椅子に関する相談を受けて、私が顧問を務めるすぐ創る課が具体的な連携をしっかりと行い、下記発表までこぎつけました。

また、太陽グループの取締役の方が総出でいらして、スマートライフケア共創工房を見学されたり、ワークショップを実施したりもしました。

 

今年はさらに、山口県産業技術センターとも繋がりができました。

今後、九州だけでなく山口県とも連携して、介護イノベーションを加速していきたいと思います。

 

厚生労働省老健局高齢福祉課からのご訪問

今年10月のことですが、厚生労働省老健局高齢福祉課の介護業務効率化・生産性向上推進室室長補佐、介護ロボット開発・普及推進室室長補佐を兼任され、経済産業省 商務情報政策局ヘルスケア産業課 医療・福祉機器産業室 室長補佐も併任されている、東様がスマートライフケア共創工房にご来訪されました。

スマートライフケア共創工房を見学していただきました

まだ発表前であった、介護ロボットの仮想貸し出しシステムも体験していただきました。先日開催されたSAES2022で初めて発表しました。
Kogami, T., Shibata, T.
Virtual Trial Lending of Nursing Care Robots Using Mixed Reality Device
10th International Symposium on Applied Engineering and Sciences(SAES2022), 2022.12

仮想ロボット貸し出しシステムも体験していただきました

介護ロボットプラットフォーム事業の現状や今後ついても意見交換をさせていただきました。

スマートライフケア共創工房は、R2年度にはべ48件のイベント・見学対応を行い、R3年度には64件のイベント・見学対応を行いました。そしてR4年度は既に84件に達しており、まだご依頼をいただいていところです。毎回、見学対応をしてくれる学生さんたちに感謝するしかありません。

博士前期課程 高等専門学校推薦選抜が始まります!

高専専攻科を修了し生命体工学研究科への進学を希望する学生の皆さん!

受験機会を拡充し、高等専門学校専攻科と生命体工学研究科博士前期課程の教育研究を円滑に接続することを目的として、(令和6年度(2024年度)4月入学)高等専門学校推薦選抜が始まりました!

柴田研にもいつも県内外の高専出身の学生さんが数名いて、活躍しています。柴田研に興味があり、来年受験をして2024年度4月に入学を考えてる高専の学生さんは、ぜひこの新制度の活用を考えてみてください。

公式の案内ページはこちら

高等専門学校推薦選抜スケジュール

生命体工学研究科では、夏季に高専インターンシップを実施しています。この夏、柴田研には一名の高専生が参加してくれ、素晴らしい成果を出してくれました。

当研究科では高専インターンシップをこの夏も実施予定です。専攻科一年生の学生さん(に限りませんが)、ぜひ柴田研や研究科の広報をチェックしてくださいね!