柴田教授のひびきの放送局 (Prof. Shibata's Blog)

九州工業大学大学院生命体工学研究科の柴田智広教授の公式ブログです (Official Blog of Prof. Shibata)

九工大若松キャンパスで「ヘルスケア・プロフェッショナル交流会」を開催

2025年7月1日に若松キャンパスで、本学および九州ヘルスケア産業推進協議会(HAMIQ)主催の「ヘルスケアプロフェッショナル交流会」が開催されました。HAMIQは昨年末から九州ヘルスケアスタートアップラボ(KSLab)を開始しており、私や井上創造先生もコーディネーターを務めています。今回は、九工大若松キャンパスで介護福祉の研究やスタートアップに取り組む学生達が、介護福祉機器の開発や販売の実績がある方々の経験や方法を深く学び、また経産省、HAMIQ、九工大のスタートアップ支援メニューを知る大変貴重な機会が提供されました。

  • HAMIQ石橋様によるKSLabの紹介

第一部の様子

第一部では、ヘルスケア分野に対する最新基本情報の提供がなされました。

  • 九州経済産業局 地域経済部 製造産業課 ヘルスケア・バイオ産業室 ヘルスケア産業 係長 有馬詩織様:医療介護分野に対する経済産業省の支援内容の紹介

    九経局 有馬様による医療介護分野に対する経産省の支援内容の紹介
  • HAMIQ 石橋様:ヘルスケアスタートアップ支援事業「KSLab」の紹介とヘルスケア企業での開発から販売の経験談
  • 合同会社 KT福祉環境研究所 所長 松尾清美先生(佐賀大学教育研究院 医学域医学系 准教授):ヘルスケア機器開発の基本 

    松尾先生のご講演では、福祉機器開発と障害者支援に関する実践的な知見が紹介されました。21歳で脊髄損傷により四肢麻痺となったご本人が、以降48年間にわたり1万人以上を支援しながら開発者として歩んできた経験に基づき、福祉と工学の橋渡しの重要性が語られました。

    講演では「障害者を上から目線で見てはいけない」という強いメッセージと共に、「使用者と同じ目線で、生活に根ざしたものづくりを」という開発哲学が強調されました。また、松尾先生は自らの移動や排泄支援の経験をもとに、車椅子の補助輪や排尿支援装置などの事例も紹介。福祉機器は生活環境・家族・制度と密接に関係しており、「技術・制度・使用者」の三者が連携して初めて実用化が進むと説かれました。

    KT福祉環境研究所所長 松尾先生のご講演の様子
  • 九州工業大学 社会実装本部 未来思考実証センター スタートアップ推進部門 起業戦略URA 吉本 大祐様:九工大におけるスタートアップ支援等について

    九工大起業戦略URAの吉本氏によるスタートアップ支援の紹介

第二部 プロフェッショナルの方々と参加学生達との交流会が開催され、午前中の話のQ&Aや今行っていることへのアドバイス等が活発になされました。

第二部の様子

第1回車椅子テニス競技大会チャンピオンでもある松尾先生は、本日も自力で佐賀県から学研都市まで移動してこられたそうで、その精神力・体力に驚嘆しました。さらに当事者工学研究者の草分けとして、長年にわたり多数の障がい者を支援してこられた情熱と知見で、参加学生に大きなパワーを与えていただきました。きっと若松キャンパスから社会実装や起業の事例が増えていくものと強く期待しています。

最後に、今回の交流会を企画してくださった石橋様を始めとするHAMIQの方々、ご講演賜った松尾先生、そして九経局の皆様に、心より御礼申し上げます。

最後に松尾先生を囲んで記念撮影