柴田教授のひびきの放送局 (Prof. Shibata's Blog)

九州工業大学大学院生命体工学研究科の柴田智広教授の公式ブログです (Official Blog of Prof. Shibata)

鈴木未来選手、ダーツ世界選手権で連覇達成おめでとうございます!

日本人の快挙の記事を偶然に目にしました。

こんなすごい女性の選手が日本にいたんですね!
鈴木選手、おめでとうございます!

ところで、私は研究者として、ヒトの運動学習支援システムに興味があり、ダーツを題材とした研究を現ホンダ技研の大林さんと、現神戸大学の爲井先生と共同で行い、出版した論文で日本神経回路学会論文賞を受賞することができました。

受賞論文の解説は下記から無料で読めるので、興味のある方はぜひご覧ください。

実はこの研究を開始したころ、大阪に強い選手がいるということで、事務所に一度問い合わせたことがありました。その際、選手として興味があるポイントと、我々が研究し得るポイントに乖離があったため、選手の協力を仰ぐのは断念した経緯があります。
この論文が出版されてからおよそ6年。技術的にトップクラスの選手の興味に応えられるか、ぜひしっかり考えてみようと思います。

 

先天性ミオパチーの会代表の伊藤亮さんが来訪されました。

皆さん、先天性ミオパチーという難病をご存知ですか?

本日、一般社団法人 先天性ミオパチーの会代表の伊藤亮さんが、スマートライフケア共創工房柴田研の見学にいらっしゃいました。呼吸するための筋肉の筋力が健常者の1/10程度ということで、時々手動の吸入器を用いておられました。その吸入器は緊急組成バッグ(アンビューバッグとかアンビューとも言うそうです)を転用して用いられているそうで、その吸い口は3Dプリンタで作成されたのだそうです。素晴らしい!

そして分身ロボットOriHimeのデモもしてくださいました。動作が可愛く、操作も簡単で、これは難病や障がい者の方が分身で社会参画するのが嬉しくなるだろうなぁ、と思いました。

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伊藤さんがOriHimeをデモしてくださいました

「先天性ミオパチーについて」を見ると、数多くの種類があり、症状も違うので確定診断が必要なのだそうです。
これから先天性ミオパチーにロボット技術で何ができそうか調べてみますが、一方で遺伝子治療に新たな動きがあることも、伊藤さんに教えていただきました。

www.mixonline.jp

この記事によれば、Audentes社は、アデノ随伴ウイルス(AAV)に基づく遺伝子治療薬の研究開発に注力する企業で、X染色体連鎖性ミオチュブラー・ミオパチー(XLMTM)の適応取得を目指す「AT132」という薬を有するようなので、XLMTMタイプの患者さんの希望になるのではないでしょうか。

今後も、障がい者や患者の方々のために、ロボティクスや遺伝子治療などの先端技術がますます発展することを祈念します。柴田研も頑張っていきます!

 

出生率の低下は止められない? - 20年先を行く北九州モデルへの期待 -

恐ろしいニュースが飛び込んできました。

www.nikkei.com

子供の養育・教育費が出せない気がする、子供より自分にお金をかけたい、子供を授からない、などなど様々な要因があるでしょう。

一時期フランスの出生率回復が話題になりました。

mamapicks.jp

しかしもう低下しているのです。

ecodb.net

フランスの件について、2018年のこんな記事もありますね。

newsphere.jp

上記記事では、出産適齢期が上がった、出産年齢にある女性も減少という分析もあれば、説明的モデルはなく理由の特定は難しい、という意見ものっています。


説明的モデルが不明でも、統計は嘘をつきません(各国の統計を信じるしかない)。
日本の統計局のデータを見てみましょう。

www.stat.go.jp

上記ページの中央付近にある、「令和元年12月報 (令和元年7月確定値,令和元年12月概算値)(PDF:297KB)」を見ると詳細な表が出てきます。
そこで令和元年12月概算値を読み取り、女性のうち50歳以上の方の比率を調べてみると、2020年問題の一つと言われていた通り、約49.8%(女性人口のほぼ半分)でした。すなわち、女性のほぼ半分の方たちはほとんど出産しないということです。

この資料のまま階級幅を5歳で、下記に女性人口をプロットしてみました。

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45歳から49歳の階級をピークに、そのから若い世代はガクッと人口が減少していることが分かります。ちなみに、20歳~44歳の女性人口比率は約26.9%しかいません。

この状況で、人口減少に歯止めをかけようとすると、数少ない出産適齢期の女性に、たくさん子供を産んでもらうしかありませんが、それは非常にハードルが高いことはフランスの事例でもわかります。また、万一子供をたくさん産んでもらえたとしても、その効果が表れるのは20年以上先のことです。

日本では、高齢者数のピークがちょうど20年後で、高齢化率のピークはさらにその25年以上後、と予測されています。

www8.cao.go.jp

今、大胆な出産・子育て支援策を打ったとして、万一出生率が上昇したとしても、この20年から45年程度は、経験したことのない少子高齢社会と向き合うしかなさそうです。

実は、私が住む北九州市では、高齢者数のピークは2020年で、高齢化率のピークが2040年と予測されています。すなわち、全国推計値の20年前を行っている状況なのです。そこで、経験したことのない少子高齢社会と向き合うことができる「北九州市モデル」といったものが提案できれば、それは日本に大きく貢献できることが期待されます。

国家戦略特区であり、そのメインテーマを「介護ロボット導入実証」とする北九州市は、先進的な取り組みを展開し、実際に北九州市モデルを提案するたゆまぬ努力を続けており、

www8.cao.go.jp

私もこの特区のワーキンググループメンバとして、また研究者・教員として、少しでも貢献ができればと思い、全力で活動を展開しています。

tom-shibata.hatenablog.com

 

 

 

 

 

 

 

ひびきのサロン開催後記

11月27日に

を開催しました。企画立案司会進行の私が一番楽しんだのではとも思いましたが、講師陣も講演の後パネルの前にはすっかり意気投合され、サロン終了後には多くの参加者からも、「大変有意義だった」「この手の企画の中で一番面白かった」などと直接声をかけていただき、とても嬉しかったです。


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会場の様子

西野先生は、病院や介護施設におけるニーズを列挙していただきました。そのうち「着衣」をだいぶ強調されてたのは、私がいるからかと思ったら違いました。私が着衣介助ロボの動画をチラとお見せしたら驚かれていて、宣伝不足を思い知らされました (^^;

上岡さんに教えていただいた音楽の力の実例には圧倒されました。
YouTubeMan In Nursing Home Reacts To Hearing Music From His Er 

井手先生が紹介してくださったクチトレプラスは、早速試してみようという方が何人もおられました。製品サイトは

です。

相馬先生には、九工大が推進する文科省地域エコ事業「アクティブシニアIoT」のシーズ紹介をしていただきました。

パネルには講師に加えて、福岡県介護士会から藤野副会長と、認知症・草の根ネットワークから田代代表に加わっていただきました。

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福岡県介護士会 藤野副会長のショートプレゼン

藤野副会長は介護施設利用者のQOL向上が必要で、そのためには利用者の調子の変化に気が付く技術も重要とご指摘いただきました。

認知症・草の根ネットワーク代表の田代代表からは、本日紹介されたような最先端の機器の情報を現場は知らないと述べられたました。いくらテレビや新聞に出ても、広報した情報が隅々までは全く伝わらない問題は、私も奈良県にいたときから経験しており、10年たち、北九州でも未だにそうならば、抜本的な解決策が必要だと思いました。
パネルの際には、会場から自由な意見や質問を求めたところ、盛んな質疑応答がなされました。今回はパネルを重要視してその時間を50分と長めにとっていましたが、もっと増やしておけば良かったです。

 
その後のひびきの連携交流会には、サロンの講師、聴講者の他、若松キャンパスの学生が多数参加し、研究ポスター発表も多数行われ、大盛況でした。

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ひびきの連携交流会の様子

最後に、講師の皆さま、聴講していただいた皆様、開催をサポートしていただいたFAISの皆様、またアクティブシニアIoT事務局と、柴田研の秘書に、改めて感謝申し上げます!

 

 

 

 誰でも参加できます!「先進的な技術とコミュニティによる認知症の方々との共生を目指して」

認知症に関するひびきのサロンおよび連携交流買いが、いよいよ明日の開催となりました。

「私が参加していいのかしら」という一般の方の声をちらほら聴きます。
誰でも参加可能です! 
まだ参加者数に十分な余裕があるようですので、ぜひご参加ください(可能なら事前登録お願いします)。

 

 

ひびきのサロン(11月27日開催)「先進的な技術とコミュニティによる認知症の方々との共生を目指して」

「先進的な技術とコミュニティによる認知症の方々との共生を目指して」と題して、九工大地域イノベーションエコシステム形成プロジェクト第5回ワークショップとして、またFAISの「ひびきのサロン」としての企画を、11月27日(水)に開催します。医療従事者NPO法人九工大地域イノベプロデューサーの講演のあと、福岡県介護士会、認知症・草の根ネットワークにも参加いただき、ニーズ把握やシーズマッチングに関するパネルディスカッションを行います。
無料の連携交流会(水曜ですが金曜懇親会的な催しです)にもぜひご参加ください。
お申込み方法:
 - Web上からフォームで:https://www.ksrp.or.jp/fais/iac/project/salon/index.php?form=203
 - FAXで:下記チラシの2ページ目を見てください。

(※)連携交流会は(株)豆蔵様にスポンサリングしていただいております。

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チラシ1ページ目

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チラシ2ページ目