柴田教授のひびきの放送局/Prof. Shibata's Hibikino Station

九州工業大学大学院生命体工学研究科の柴田智広教授の公式ブログです.

個性を数理モデリングする

私は、東北大学大隅典子先生が統括する、新学術領域「個性創発脳」

の計画班代表を務めています。

ニュースレターがこれまで7巻発行されています。各巻大変充実していて、毎回最後には計画班代表のコラムがあって、私はこれも楽しみにしています。今年3月に発行されたvol.7のコラム担当は私でした。個性のモデル化に興味のある方はぜひご一読ください。

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 個性とは何か、個体差との違いは何か、この哲学的で学際的な議論が本新学術領域では度々なされます。私はこの素晴らしい議論の時間を、毎回脳をフル回転させながら心から楽しんでいます。なんて知的で贅沢な時間なんでしょう! そして、過去のコラムを読むと、各先生がそれぞれ定義を試みられていたり、また領域として定義を収束するべき か否か悩む先生もおられたり、これまた本当に面白い。
 さて私はというと、A03班の計画班『「個性」を発見するマーカレス表現型記録・マイニングシステムの開発』の代表を務めています。そして、これまでの領域会議などの経験から、A02班の星野先生やA03班の郷先生とかなり近い考え方をしていると感じています。ちょうどニュースレター第4巻のコラム担当の郷先生が、「次元圧縮」というキーワードを用いて議論をされていて、特に種に固有の個性に対する興味を披露されていました。私もこれまで機械学習法を用いた次元縮約(圧縮)により、パーソナリティ研究におけるキーワードでもある「共通次元」「非共通次元」が見いだせないか、と研究を進めています(後述)。また、ニュースレター第6巻のコラムでは、星野先生が統計物理学の観点から、個性とは、「温度」や「時間」と同様にバラバラの要素にしたのではその意味を失ってしまう、マクロの概念である、と述べられました。
 ところで、私は上記のような数理的考え方が合理的で好きである一方、「個性」とはヒトが感じているものなので、社会的認知の側面を考える必要があると思っています。2017年にA01班集会での私の講演「個性は生物に内在するか」も、この社会的認知の側面を考えてのタイトルでしたが、講演内容は最終的に前記のような数理的な話にかなり収束させてしまいました。個体差の発現は、A02班の中島先生のエピジェネティクス研究をはじめ、多数のエビデンスの下、一般に環境・社会に多大な影響を受けることはコンセンサスが得られていると思います。そもそも個体差とは個体の代表値が無いと定義できないので、社会的な定義になっているとも言えます。前述の星野先生の定義では、一個体の個性(マクロ状態)を定義するのに、多数の粒子(特徴)や粒子の状態遷移が必要でした。これをヒトの研究に適用しようとすると、例えば、パーソナリティ研究におけるビッグファイブ(神経症傾向、外向性、経験への開放性、協調性、誠実性)というマクロ状態をよく表す特徴量や状態遷移則は何か、ということになります。パーソナリティ研究分野では膨大な議論がなされているとは思いますが、本新学術領域では、ゲノム表現から行動表現、さらに環境・社会の影響や進化まで考えて、ヒトが感じる「個性」というマクロ状態をよく表す特徴量や状態遷移則を探すことが長期的な目標である、と私は考えています。

 そこで当計画班では、マルチモーダル高次元データをノンパラメトリックベイズ法により非線形モデリングすることで、個体間に共通な多様体(特徴空間)と非共通な多様体(特徴空間)を抽出、個性の解析を進める方法を提案し、具体的に前腕の筋活動データに適用することで、一定の成果を出すことができました(参考文献)。しかし、個性の多層理解には程遠い状況です。今年も、領域メンバの皆さんから多様で多大な刺激を受けつつ、着実に前進していきたいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
【参考文献】 Dviwedi, S.K., Ngeo, J.G., and Shibata, T. Extraction of Nonlinear Synergies for Proportional and Simultaneous Estimation of Finger Kinematics. IEEE Transactions on Biomedical Engineering, IEEEXplore early access page, 2020.1.16 (DOI: 10.1109/ TBME.2020.2967154). 

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社会ロボット具現化センター新体制

2020年度から、九工大の多数のセンターが新体制になりました。

もその一つです。

私は、副センター長に就任しました。

本センターはその名の通り、「具現化」がミッションで、ロボティクス・メカトロニクス講演会2018 in 北九州(事後のブログ記事はこちら)の他、これまで下記のようなユニークな活動をしてきており、今後も継続する計画です。

 

黒田りささん遠隔インタビューの研究室紹介動画

RKB毎日放送発掘ゼミ!!」でご活躍の、黒田りさ さんにZoomで登場していただき、教授や学生数名にインタビューをしてもらいながら、柴田教授が研究紹介を行う動画をシリーズで公開しています。
柴田教授へのインタビュー編 / Interview with Prof. Shibata

介護者用 腰痛姿勢警告・改善システム編 / Working Posture Analysis and Waring System

パーキンソン病患者用歩行アシスト装置編(English Captioned)/ Gait Assist Device for People with Parkinson Disease

このYouTube動画には、英語のキャプションを付けてみました。

 

これからも動画を更新していきます。チャンネル登録

をよろしくお願いします。

 

 

オンライン研究室見学は随時受け付けています

先日、大学院生命体工学研究科のオンライン入試説明会・グループ別相談会が、Zoomを使って無事に修了しました。参加してくれた非常に多くの学生の皆さん、どうも有難うございました!


なお、

www.brain.kyutech.ac.jp

は随時受け付けています。一人もしくは複数の教員とじっくり相談をしたいときには、ぜひ気軽に申し込んでくださいね! 

 

Zoom初めてブレイクアウトルームを使ったんですが、ミスは一度ですみました。ホストはかなり神経を使って大変なこともわかりました (^^;

Remoがもっと使いやすくなって、もっと通信量も減ると、活用してみたいとは思っています。

 

研究科のYouTube Channelを立ち上げました

今年はオープンキャンパスができませんでしたが、下記があります。

tom-shibata.hatenablog.com

グループ別相談会では、各スロットの参加者は最大3名です。スロットはたくさんあります。でももし参加できなかった方は、随時のオンライン研究室見学を利用してください。

 

また、九州工業大学 大学院生命体工学研究科のYouTube Channelを立ち上げました。

動画は頻繁に追加・更新される予定なので、ぜひチャネル登録よろしくお願いします。

www.youtube.com

柴田研のYouTube Channelも、よろしくお願いします。

www.youtube.com

オンライン入試説明会・グループ別相談会のお知らせ(5月25日申込締切)

九工大大学院生命体工学研究科ではCOIVD-19のためにオープンキャンパスを実施できませんでした。代わりの方法は下記のようです。

 

1.オンライン入試説明会・グループ別相談会

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5月25日申込締切です!
グループ別相談会では、各スロットの参加者は最大3名です。スロットはたくさんあります。でももし参加できなかった方は、下記のオンライン研究室見学(随時)を利用してください。

2.オンライン研究室見学(随時受付)
     http://www.lsse.kyutech.ac.jp/for_prospective_students/#kengaku
        6月29日まで若松キャンパスでの研究室訪問の受付を休止します。
  代わりに,Zoomなどを用いたオンラインでの研究室見学の受付を開始しています。

 

有事につき携帯電話料金やWiFi料金・取り付けに特別な措置を!

九工大でも少なくとも5月6日まで休校・休講中です。
本来ならオンライン授業が良いのですが、九大でも自宅にWiFiを持っていない学生の比率がおよそ3割と聞き、九工大も似たような状況らしく、驚いています。

 

最近、コロナ後の世界について、興味深い議論がなされていますが、

web.kawade.co.jp

kaz-ataka.hatenablog.com

何はともあれベースとなるWiFI環境の整備が今必要!

 

また、精神障がい者向けサービス施設を運営する知人から相談があったのですが、精神障がい者の方々もWiFiは持ってない人が多く、不安で電話やネットをしすぎて莫大な請求がされるんじゃないか、など心配が尽きないそうです。

精神障がい者に限らず、多様な弱者の方がWiFiが無いことで大変困っておられるでしょう。

 

携帯電話については、学生向けには4月末まで50G追加購入無料という施策が発表されました。

japan.cnet.com

ネット検索すると、軽いZoomなら、1時間で500MB前後消費するようです。
50Gを全て授業に使ったとすると、100時間、すなわち約66コマ履修できることになるので、1科目16コマについてフルにZoomを使ったとして、4科目しか履修できません。
しかし実際には、予めコンテンツを作って、学生にはダウンロードだけしてもらうようにすれば、大きな問題は回避できます。

精神障がい者など、多様な弱者の方々の通信費もぜひ学生と同様な措置をしてほしいですし、できればこの機会にWiFi環境の整備までやってしまったほうが、コロナ後の世界にいち早く対応できるベースを作ることになります。
工事不要のWiFiルーターも各社あるようですから、まずは弱者のお宅に政府、自治体もしくは企業がそれを提供してくれればと願わずにはいられません。例えば孫さんが、さっと動いていただけないでしょうか。

air-bb.net