柴田教授のひびきの放送局 (Prof. Shibata's Blog)

九州工業大学大学院生命体工学研究科の柴田智広教授の公式ブログです (Official Blog of Prof. Shibata)

市民講座「人間、AI、自然の未来を想像する」を開催しました

IEEE Computational Intelligence Society(CIS)と日本学術会議が主催である「第13回計算知能に関する国際会議(IEEE WCCI 2024)」が、6月30日(日)~7 月 5 日(金)にパシフィコ横浜で開催されています。
 30日(日)に、高校生や小中生を対象とし、また横浜市次世代育成事業として、無料の市民講座「「人間、AI、自然の未来を想像する」を開催しました。横浜の高校はちょうど期末テスト目前だったため、また当日の体調不良による欠席で参加者が少なかったですが、万難を排して来てくれた高校生の他、中学生や小学生も参加してくれました。そして彼らは、実に熱心聴講・質問をし、ワークショップに取り組みました。

 ドイツはOtto-von-Guericke-University Magdeburgの教授で、IEEE Computational Intelligence Societyの副会長でもあるMostaghim教授は、Artificial Intelligence, Swarm Intelligenceやロボット応用などについて、興味を引く動画もたくさん使いながら、大変分かりやすく講義をしていただきました。

Prof. Sanaz Mostaghim教授の講演後に記念写真

 

 オムロン株式会社のグループ内の未来研究所として、1990年に創業した人文社会科学系のヒューマンルネッサンス研究所のエグゼクティブフェローである中間真一先生は、SINIC理論を子供達にも分かるよう優しく説明していただき、またオムロンという会社が創業の早い時期から、遠い未来からバックキャストをし、フォーキャストに従って様々な事業を手掛けてきたことをご説明いただき、個人的にも得心しました。また、ワクワク未来づくりを担ってほしいということを熱く子供達に伝えていただきました。

中間真一先生講演の後の記念写真

 

中間先生がnoteに記事を書いてくださいました。講義の内容や先生の想いがよく分かりますので、ぜひアクセスしてみてください。


 その後、1時間強の時間をかけて、人間、AI、自然の未来を想像するワークショップを行いました。中間先生の講義を受けて、まずありたい未来からバックキャストをしてもらい、その後AIも活用するフォーキャストも試みてもらいました。最終的にそれぞれのチームで発表してもらった後、休日にも関わらず駆けつけていただいたヒューマンルネッサンス研究所所長の立石郁雄様と、中間先生に講評をしていただきました。お二人からは大変すばらしいエールを子供達にいただきました。

人間、AI、自然の未来を想像するワークショップの発表会

中間先生だけでなくルネッサンス研究所所長の立石郁雄様にも講評をいただきました

 私は以前、福岡市科学館のイベントで、高校生対象のワークショップのファシリテーターの一人として参加したことがあるのですが、その時は事前学習もあり、ワークショップだけで半日ありという内容でした。

 今回のワークショップはぶっつけ本番で、しかも時間も1.5時間くらいしかないという、かなり無茶ぶりであったのですが、子供達は悩みながも前向きに、なんとかプレゼンまでこぎつけてくれました。本当に素晴らしかった! 子供達からは下記のような感想をもらいました(一部)。

  • 第1の講義でAIの様々なことを知り、第2の講義で未来の新しい見方を知ることができたことは将来必ず役立つという実感を得ました。
  • AIをプログラムするためには、生物学・進化についても考慮する必要があり、科目を超えて考える大切さを感じました。
  • 立てられた未来にそっていくのもある程度必要だけれど、未来から考えて自分で道をつくって使うことが大切だと思いました。
  • 今まで考えたことがあまりなかった未来を現実的に考え、自分に何ができるのか深く分かる良い機会でした。
  • 専門的な事を学んだ人達に話を聞けてとても勉強になった。AIと共存して未来をソウゾウしていくことが大切だと感じました。
  • 学校では習わない内容で楽しかった。

 今日ここで出会った子供達は、将来必ず今日のことを役に立てたり思い出したりしてくれると思います。子供達が素晴らしい未来を創造してくれることを切に願いますし、そのような若者に対して必要に応じたアシスト(Assist-As-Needed)をしていけたらと思います。

 

 本講座は、IEEE WCCI 2024実行委員の先生方、日本学術会議の御担当者、横浜市にぎわいスポーツ文化局MICE振興課の方々などのお力添えなくしては実現できませんでした。改めて関係各位に御礼申し上げます。