柴田教授のひびきの放送局 (Prof. Shibata's Blog)

九州工業大学大学院生命体工学研究科の柴田智広教授の公式ブログです (Official Blog of Prof. Shibata)

介護DXをますます盛り上げていきましょう!

本日の日経電子版に、日本ロボット学会(RSJ)の介護ロボット研究専門委員会で、RSJ2022@東大の時にオーガナイズした「介護とロボティクス」セッション

 

に関連する記事が掲載されました(紙版は昨日掲載)。

この記事中でのジェイテクトフレアリーに関する部分で、『「中腰姿勢での作業が楽になった」という好意的な声が多かった一方、否定的な意見も出た。』のところを、補足しておきます(RSJ2022で発表済)。

アンケートでは共通して中腰姿勢での作業が楽になったという感想が得られました。 また, 装着の手軽さや装置の重量に対して好意的な感想が得られました。一方、アシストがうまく動作に追従できない場合や肩ベルトが引っ張られることが不快に感じたという感想もありました。これについては、ロボットを装着した介護従事者が、介護の作業を遅らせないために、違和感があってもアシストの強さを切り替えず作業を続けてしまったことが要因として考えられました。今後の実証実験の際には、事前にもっと研修を行うことによって、より良い結果が得られると予想しています。

またこの記事では最後に、「介護現場と事業者、行政が歩み寄りながら望ましい活用を探っていく必要がある。」と締めくくっています。とても大事な点ですが、既に様々な施策が打たれてはいるので、ここでは改めて、厚労省の(通称)介護ロボットプラットフォーム事業を宣伝しておきます。

  • 地域相談窓口:各地域において、介護ロボットに関する介護現場(ニーズ)・開発企業(シーズ)双方からの相談受付などを行う一元的な窓口が、現在全国で17箇所に設置されています。
  • リビングラボ:実際の生活空間を再現し、利用者参加の下で新しい技術やサービスの開発を行うなど、介護現場のニーズを踏まえた介護ロボットの開発を促進するための機関で、現在全国で8か所に設置されています。
  • 実証フィールド:千を超える全国の介護施設が、実証フィールドとして登録されています。

私が代表として運営するスマートライフケア共創工房もリビングラボの一つで、全国の開発企業の支援をしつつ、他のリビングラボ、各地の地域相談窓口との連携や、実証施設との連携を強めています。ちょうど昨日、東京の社会福祉法人善光会さんが見学にいらっしゃいました。善光会さんは、創業当初から介護施設のDXに取り組んでこられた素晴らしい社会福祉法人で、リビングラボの仲間でもあります。またこの日は、やはり介護とロボットOSを聴講してくださったという、カリフォルニア大学サンタバーバラ
東アジア言語文化学部 准教授の池内須摩先生(写真左端)もお越しになりました。

 

日経は5月にも記事を出してくれました。こちらは介護福祉DXの良い事例が3件紹介されています。

課題を克服しながら、介護DXをますます盛り上げていきましょう!